脊髄梗塞の様々な症状と和らげる方法

ここに記載した様々な症状は、ネット上では「症状として運動麻痺と感覚麻痺が現れます」という一行で終わってしまうものです。医学上の分類としては、枝分かれしているだけで、書き方が間違っているかもしれませんが、一患者の生の声とお許し下さい。

脊髄には脳から発する指令を体の各部位に伝達する、また反対に身体からの信号を脳に伝達する役割があり、反射(外からの刺激に対して無意識に起こす反応)の重要な部分です。

首から腰の方へ順に脊椎の分類に合わせて、頚髄(Cervical marrow )C1~7胸髄(Thoracic marrow )T1~12腰髄(Lumbar marrow)L1~5仙髄(Sacrum marrow)S1~5と分かれていて、損傷または虚血によって、体に様々な傷害が現れます。

また、部位や衝撃の度合いによって、症状には個人差があります。そして完全麻痺不全麻痺がありますので、私の症状を中心に書きますが、ご意見がありましたら、お知らせ下さい。
私の部位はT10~11でへそから下に症状が出ています。腰椎や仙椎の症状も入っています。

一度傷つくと二度と再生することができないと言われてきましたが、近年再生医療の可能性が出てきました。再生医療についてのニュースは別の章でお話しますが、嬉しいですよね。

 

脊髄損傷と脊髄梗塞

 

脊髄は背骨を形作っている脊椎の中にある長い筒状の構造をした神経の束で、頭と首の境目付近から胸と腰の境界まで連続して繋がっています。

脊髄損傷の主な原因【交通事故43.7%、高所からの落下28.9%、転倒12.9%、打撲・下敷5.5%、スポーツ5.4%、その他3.6%】となっています。脊椎に衝撃が加わることにより、脊髄に損傷が生じるものです。

脊髄梗塞が脊髄損傷と違うところは、これといった原因がないまま、突然発症することです。脊髄梗塞は背中から腰のあたりの脊髄に発症することが多いのですが、この部位の脊髄は体内で一番太い「大動脈」から、左右に枝分かれした数本の細い血管によって栄養を補給されています。その血管が詰まって起こるのが脊髄梗塞です。                  

画像引用元:ニューロテック・メディカル株式会社(https://neurotech.jp/)

脊髄梗塞の特徴

頻度は脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の1/50~1/100と報告されているが、まれな疾患の為、その病態や予後(その病気のたどる経路についての医学上の見通し)は、まだ不明な部分が多い。

※脳梗塞が半身に障害が出ることが多いのに対し、脊髄梗塞では体の両側共に支障が出ることが多い。

※発症からピークまでの時間は12~48時間といわれていて、ピークを過ぎると進行や再発はないと言われている。(文献とは違い、私の場合は発症から数十秒で痛みはピークを迎え、最後にぴくぴくと動いていた左足が動かなくなるまで1時間でした。

※部位はC3~T12

※脊髄梗塞は明確な診断基準がなく、確定診断は困難であり、原因が不明なのが特徴。

 

痺れ

しびれとは、本来は感覚が部分的または完全に消失した状態を示し、抹消神経系の機能障害の症状とあります。

私の場合はへそから下はすべてガチガチに痺れがあり、日によって強弱があります。痺れは我慢するしかなくても、痛みと連動しているので、困ります。

また、感覚として体内に感じる部分では、膀胱という個別の部位ではなく、尿道口の内側深部だったりして、女性として言葉にしずらいこともあります。

胴や両足の内部で、ピクピクしたり、プルプルしたり、ゴニョゴニョしたりと大忙しです。笑

私の対処方は、あぐらをかくこと。PCに向かって居る時、テーブルで何かして居る時、リクライニングチェアに座る時など日中の2/3は車椅子の上でもあぐらをかいています。足を垂らしていると、ジンジンと冷えのようなたまらない感覚になるので、あぐらをかいていると、それが和らぎます。
お仕事の方は難しいかもしれませんが、お勧めです。   
                            

痛み

起きている間中痛みを感じるというのは辛いものがありますね。
あるサイトによれば70%は痛みが無いと書いてあります。??
私の場合は両下肢の腿裏から腰に掛けて座面に接している部分に一日中痛みを感じています。座っているからではなく、横になっても同じです。

痛みのレベルについての私の表現は、泣き叫ぶような痛みを10とすると、何もする気力がなくベッドに横になり我慢する時が8(月に1~2回)、薬を飲んで気を紛らわせば何とかなる痛みが5(週に2~3日)、今日は良い感じと思う日常が3と言っています。

痺れのせいか、お尻にゴツゴツしたものを挟んでいるような痛みと違和感があり、これは80日目位から、取れません。
関連医療用語集の【陰部神経障害】に当てはまります。

Youtuberの脊損の男の子が電気ウナギが挟まっているようだと言っていました。同じ症状のようです。

神経の痛みの為に1日4回リリカ75mg(プレガバリン75mg)を服用し、レベル5や8の時はトラマールを飲みます。

痺れの緩和方法でお伝えした『あぐら』ですが、それでも痛くてたまらないことはよくありますよね。横になれない時、ヨガのポーズをやってると思って、坐骨の下に手のひらを置いてみて下さい。なぜか少し痛くなくなりますよ。片方ずつしかできませんが

※脊髄梗塞Q&A「痺れによる痛みに効く薬について」に医師の回答が書いてあります。参考になさって下さい。

haruurara2017さんによると、眠気の少ないタリージェとトアラセットを併用されているようですが、痺れも痛みも軽減できないとのこと。私も薬が効いている感じは薄いですが、脳に効くと言い聞かせている感じです。笑

体幹麻痺

体幹機能障害は脊髄や頚髄を損傷したことによる後遺症で、体幹(頸部・胸部・腹部・腰部)の障害により、体位(姿勢)の保持に困難を生じるものです。

車椅子に座った状態で、手を伸ばして床のものを取ることはできません。壁か何かに片手をついて支える必要があります。

座った状態で、体を前に倒すことができないということです。
退院時はまだできなかった体位の保持が1年以上経過した今は、少し安定してきたように思います。

ただし身体を傾けれる角度と言われると、腰で支えて3~5度どまりです。現在体幹を鍛えるために、腰を左右にずらし、太ももを浮かす練習をしています。

膝立ちをすると、自然と身体がねじれます。もちろん手を離すことは、まだ1秒がやっとです。PTさんによれば、歩行練習時、体幹がぐらつくので、長下肢装具をつけて、足を棒状にしても、平均台があっても一人で歩くことはできないということでした。

リハビリと自主トレのおかげで少しずつ体幹のぐらつきが弱くなり、2年4ヶ月後長下肢装具を使って歩く練習を始めました。
詳しくは「リハビリと自主トレ」に。動画も添付しています。

運動麻痺

脳や脊髄、末梢神経が障害されることで、思うように(自分の意思で)手足を動かすことができないことを運動麻痺と言います。

私の場合は発症当初、両足共にピクリとも動かず、持ち上げるのに、とても重く感じたものでした。

40日目のリハビリの時、何とはなしに見た左足の指先がピクピクと動きました。何度か試してみましたが、やっぱり腰に頼らず足先だけを動かすことができた事にビックリしました。

神経が通い始めた瞬間のように嬉しかったものです。
※経過はリハビリと自主トレの章にあります。

少しでも動いた方の脚は、鍛えることによって変化しています。
「リハビリと自主トレ」をご覧ください。

感覚障害

感覚障害とは知覚の異常や感覚の鈍麻など感覚神経の異常反応を生じる障害を指します。
触覚痛覚温度覚振動覚位置覚など感覚の鈍麻、しびれや痛み、筋力・統制力の低下を生じる運動感覚の失調や逃避反射の喪失などが出現する事とあります。

脊髄の損傷者は温痛覚が麻痺していることが多いようです。

私の場合も、小さなもので触っても、どこを触っているか分かります。温度覚は当初へそから下全部温度を感じませんでしたが、2か月目くらいから徐々に位置が下がって行き、今では、ももにまで温度を感じるようになりました。痛覚も、先月ももをつねってみたら、痛みを感じるようになっていました。笑

ひざ下はまだ、芯から冷えている感じがしています
低温やけどには、要注意です。また、痛みを感じないので、料理中包丁を落とさないように気を付けています。血液サラサラの薬を飲んでいるので、以前はありこち青あざを作っていました。

膀胱直腸障害

「尿や便を出したい」という感覚が分からなくなったり、自分の意思では旨く出せなくなったりします。また、感覚が少し出てきても、我慢ができず失敗することが良くあります。

脊髄損傷者の多くが、歩けるようになりたいと思うより、排泄コントロールが旨くできるようになりたいと思っています。

発症当初は、失禁・便失禁に対して、人格否定されているようで悲しい思いをしたり、オムツやリハビリパンツを利用する事が悔しかったり、辛かったり・・・でも病気ですから

最初はトイレへも行けないので、留置バルーンカテーテルでしたが、67日目ついに自己導尿へたどり着きました。

排便に関しては、下剤や坐薬を使用していたものが、敵便の指導を受け、84日目より開始しました。

退院後も大活躍した防水シーツは1年と2ヶ月後片付け、シーツ上のお尻の移動がしやすいように普通のシーツに換えました。そして、1年半年後位から、夜中でも予感がしてトイレに行って処理できるようになりました。思い出したように失敗しますが、ほぼコントロールができるようになりました。もちろん敵便ですが。

排泄管理は今もしていて、入院中からノート管理しています。車椅子生活向上アイデアの章でご紹介しますね。

1年10ヶ月を最後に便失禁はなくなりました。

痙縮(けいしゅく)

脳・脊髄の障害の為に手足が突っ張るようになり、手足を曲げられない、関節が屈曲・伸展してしまい思うように動かないなどの運動障害のもとになる症状のことです。
軽度の筋硬直から重度の脚部制御不能まで各種あるようです。

まったく動かない右足ではなく、少し動く方の左足に突っ張る症状が出ることがあります。見ていると自分の意思ではなく足の甲が勝手に反り上がります。多い時は数十秒に1回も。

痙性は必ずしも悪い事ばかりではなく、それを利用して移動したり、着衣する事もでき、人により膀胱を空にする事もあるとか。

ひどい場合は運動療法や理学療法を利用すると症状を減少することが可能なようです。

ボツリヌス療法という痙縮を改善するための施術があるようです。関連用語の中に要約して書いてありますので、ご覧下さい。

弛緩(しかん)

筋緊張の亢進状態(痙性、固縮)に対して筋緊張の低下状態(弛緩)も筋緊張の異常です。

受動運動に対する抵抗の減弱ないし消失という状態で、筋は弛緩し、平らになり、垂れ下がっています。
触れると柔らかく筋特有の抵抗が減弱しています。

私の場合は痙性ではなく、弛緩があらわれていて、屈伸運動が難無くできたり、足先を持ち上げて高く上げることも簡単です。
左足にはリハビリを経て力が少しずつ戻りつつあるものの、右足はダラリと垂れ、見た目にも細く、触っても痩せているのが分かります。

褥瘡(ジョクソウ)

体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり、滞ることで皮膚の一部が赤みを帯びたり、ただれたり、傷ができてしまう事。一般的に「床ずれ」とも言われています。

1)保存的治療(外用薬剤・ぬり薬)
2)ドレッシング材(傷をおおう医療用材料)
3)物理療法(消毒・洗浄)
4)外科的治療法(手術)

坐骨や仙骨に多くみられるようですが、なかなか体位を変え続けることは難しく、治りづらいものです。

以前転んで、顔を思いきり擦りむいて病院に行った時、2回目で「あとは『キズパワーパッド』(ドレッシング材)を張っておけば大丈夫。意外と人間の面の皮は厚いから。」と言われた時はビックリしました。が、意外と自己治癒力が働いて大丈夫でした。笑

入院中に一度できたことがありますが、治るのに時間がかかりました。寝返りをできるようになった事と、痛みが酷く良く動くので褥瘡はできません。
酷くなる前に病院で見てもらった方が良いですね。

血流不良

発症後から麻痺している両足の特に膝からつま先にかけて、外から温めても、冷え切っている感覚が取れません。

左足に血栓ができていたこともあり、血流をよくするために、ひざ下に電動ポンプをつけてもらっていました。
回復期のリハビリテーション病院にはなかったので、弾性ハイソックスを履いていました。履くのが大変ですが、今でも時々履いています。

発症前は冷えとは無縁でしたが、今では冬場は電気カイロを使用しています。お風呂にはいれる人はじっくり入浴が良いようです。私はバスマットに座ってシャワーしかできないので、ベビーバスにお湯をためて足湯をします。

その他の症状

<筋力低下>
足を動かす事ができないという下半身麻痺は、結果として腹筋も利かず、有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・エアロビクス・サイクリング・水泳など)もできない為、筋肉が消失し、下肢はやせ細る代わりに、上半身が肥っていくという残念な体型になります。
接種カロリーより消費カロリーが極端に少なくポッコリお腹になるのも、止めることができません。何せ腹筋がつかないので。

足を使わない事により、骨自体や関節がもろくなるので、気を付けないと、傷める結果に繋がります。

<体の硬直>
夜中2、3度ベッドサイドレールを掴んで寝返りするだけなので、朝起きると腰から下が熱く、固まっています。少しずつゆっくり伸ばして、動き始めるようにしなければなりません。

置き始める前が特に下半身にプルプル感やピクピク感が強く感じます。

<発汗異常>
麻痺をしている下半身は発汗が旨く機能せず、
睡眠時は布団をかけている事で、熱がこもり燃えるように熱く感じます。しかし、皮膚表面を触ると、ベッドに面している部分は熱く、ももの上側やスネなどは冷たいままです。

<後天性内反足>
内反足を検索すると先天異常の情報が主に掲載されていますが、脊髄損傷など下肢の麻痺によって引き起こされるようです。

原因はいまだはっきりとわかっていません。 後天性内反足は、脳性麻痺や急性灰白髄炎(ポリオ)などで下肢が麻痺してしまうことが原因と考えられています
内反足とは、足首から足全体が内側にひねった形になり、土踏まずのあたりから先に内側に曲がっていたり、足首が上にまがらないなどや、土踏まずが深くなっていたりなど、様々な変形の症状があります。踵骨(かかとの骨)が地面に対しくるぶし側に傾いている足の変形です。 

私の場合は車椅子のフットレストを内反足の右側だけ、少し高い位置にスライドしています。長下肢装具にT字ベルトを付けていても、足の平外側がついているように感じます。

<不随意運動>
一定間隔で、私の場合は少しずつ力が付いて来ている左足だけですが、つま先が上に反るような動きをします。自宅でリクライニングシートに座っている時も車椅子であぐらをかいている時もいつも足先が勝手に動いています
美容室や歯科医の椅子に座っていると特に気になります。10秒や15秒に一回反ったりするときは、数えたくなります。笑

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