発症後初の帰省(熊本・天草)

散歩中に撮った写真

私が脊髄梗塞を発症したのは、最後に実家の天草に帰った三日後の事でした。

現在92歳になる母が近所に暮らす弟夫婦の見守りの中、一人暮らしをしているので、退職してからは毎月1週間程東京から飛行機・新幹線・バス・フェリーと乗り継いで帰っていました。

最後の帰省の時はフェリー乗り場にも、近くのタクシー会社にも空車がなくて、東京なら歩く距離だと思いながらキャリーバックを引き、2㎞程歩いた位、元気でした。

母の目にも掃除・洗濯・買い物・調理と家中を走り回っている私が映っていたようです。

あれから三年近く経ちました。
入院中も退院後もたまに弟のスマホでテレビ電話をしましたが、車椅子も見えず、元気な私の顔を見せていたので、
最初の頃は「どう?立てるようになった?」と普通の病気のように思っていたようです。
退院後は毎日電話をして、なるべく母が認知症にならないように、色々な話題を心がけていました。

今回帰るにあたっては、私が生まれた直後に建てた家なので、キッチンや母の部屋は居間より20㎝程低いですし、廊下や洗面・トイレ・お風呂も段差があります。もちろん二階にはもう上がれません。排泄障害のある私には心配事がいくつかありましたが、最初が無ければ、次は無いと、娘家族や一緒に行く上の弟の力を借りて、挑戦のつもりで出かけました。

飛行機は数日前に大阪に行くのに乗ったので、経験済でしたが、8人乗りのレンタカーは思った通り車高が高く、移乗するのに四苦八苦。婿が上から引き揚げ、下から夫と弟が押し上げるといったような連係プレーでやってくれました。これでは休憩にトイレへという訳にはいきません。先日の旅行と同じように準備した採尿バッグは正解でした。

以前熊本空港から車で帰っていた時は、自分で運転するのであまり時間は気になりませんでしたが、安全運転の弟の後ろで遠いなぁと思いながら3時間半で実家へ到着しました。
自然豊かな災害とも縁のない、のどかな美しい所ですが、それだけに遠いのが難点です。

下の弟が以前から私の為のスロープを作っていると言っていたので、車椅子を押して上がれるスロープなんて、どうやって作るのだろう?と思っていましたが、かなりのクオリティーで畳の部屋まで車椅子のまま入れることに感動しました。

私が座って過ごせるように、自宅で自主トレの時に使っているスポーツマットやプッシュアップバーは前もって送っておきましたので、弟に頼んで作っておいてくれた台とプッシュアップバーを使ってマットの上に座りました。(脊髄梗塞後の快適生活に必須!便利アイテム参考)

トイレに行けるかどうか試してみましたが、入り口までは行けるのですが、便器から入り口のドアまでの距離と向きは移乗できないと判明しました。お風呂場も段差があり、狭い脱衣所ながら、ちょっとした段差を解消する台が必要と分かりました。

つまり今回は排尿は、留置カテーテルを使い採尿バッグから、捨ててもらう事になりました。
排便の方は一日に一回病院のトイレを借りようと思っていましたが、丘の上の日本庭園のある公園のトイレが広くてきれいだというので、そちらを利用することにしました。

実際に翌日から午後3時になるとトイレツアーに出かけました。
義妹に借りた普通車に弟と娘と婿で乗り込み、5分で行ける市民公園は貯水池に併設した日本庭園と広い駐車場にきれいな多目的トイレがありました。少し離れてアスレチック公園もありますが、静かで秋晴れの、のどかな空気に包まれていました。

私が用を足す間、彼らはこの短いツアーを楽しんでいるようでした。車から降りるのも乗るのもレンタカーより全然楽にできました。そんなのどかな時間を持てたからか、排泄のストレスはゼロにすることができました。

今回はシャワーも二日目に一度だけ浴びました。
洗い場に厚めのマットを3枚敷いて、その上にシャワーチェアを置き、車椅子から移乗して娘にシャワーやシャンプーやボディソープを渡してもらい利用しました。学生の頃から離れて暮らしていた娘に、手伝ってもらっていることが自然な中に、何となく介護してもらっている事のくすぐったさを感じていました。

三泊四日は長いのか短いのか分かりませんが、母も喜んでくれて、親孝行ができなくなった私の心苦しさを軽くしてくれました。
家族に手間はかけるものの、これで実家にも何とか帰れることが実証されました。
先日の大阪・京都の旅行に続いて実家での過ごし方を経験し、国内なら家族の手を借りられたら、楽しく行くことができると実感しました。

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