脊髄梗塞になってしまったら

このページは発症から予後にかけて段階ごとにまとめてみました。症状には個人差が有りますので、目安として頂ければと思います。

私が発症した時に大事だと思ったのは不安を軽減する為の情報やメンタルでした。
私がタイミングによって大事だと思ったことを書いております。

急性期(発症から14日以内)

病気やケガが発生して間もない、緊急または重症な患者に手術などの集中的な治療を一定期間行う医療です。急性期医療は、病気の進行を止める、病気の回復の目処をつけるまでの間提供する医療です。手術や抗生物質を投じて細菌の増殖を抑えたりします。急性期医療は、患者の死ととなりあわせということも珍しくなく、救命救急センターやICUなどに運ばれる患者がまさにそうです。

救急車で運ばれた病院または受診された病院ではMRIやCTやレントゲンなどにより詳しく検査を受けられると思いますが、お仲間の中には高気圧酸素療法(関連医療用語集を受けて、歩いて退院できた方が何人かいらっしゃいます。ただ、設備のある病院に限る訳で、医師の話によると元々軽度の患者であった可能性が高いという意見もあり、ご興味のある方はご自身でお調べになられて後悔のないようなさって下さい。

産業医科大学病院・合志清隆医師の文献中「HBO (高気圧酸素)治療 を 行 い , 発 症 4 時 間以 内 の 16症例 で は 同程 度 の 病巣 と神経症状 を 有す る 同数 の 対 照 治療群 と比 較 して , 在院 日数 が 2/3以下 に短 縮 さ れ た と述 べ て い る .さ らに , こ の 治療群問 の 比 較で は ,HBO 治 療群 の 神 経 機 能 の 改善 は 良好 で ,16例 の 中で 15例 は 自宅 退 院が 可 能 と な り,対 照 群 で は 6 例 の み で あ っ た と し て い る .しか し,1991年 に Anderson らが 行 っ た 発 症 2 週 間以 内 の 脳 梗塞 39症 例 を対象 と した 二 重 盲検試験 で は HBO 治 療 の 有効 性 は 舎定的 で あ っ た」とある
※脊髄梗塞Q&Aと関連医療用語集にも詳しく書いておりますので参考になさって下さい。

手術が可能な硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう)の疑いがある場合は、造影剤を使用し、血管のどの部分に問題があるかカテーテル検査を受ける場合もあるでしょう。

この時期は突然の発症で、どんな病気なんだろうという戸惑いや、これからどうなっていくんだろうという不安など、肉体の苦痛だけでなく精神的にも辛いことと思います。
一人で今後の事を考えていると苦しくなりますから、同病の人がいる事、今が一番底で今後は周りの人たちの力を借りて少しずつでも右肩上がりに回復すると信じて良いと思います。

※医療については担当して下さる医師により脳梗塞と同様の治療を受けられるでしょう。

※リハビリも翌日から始められることと思います。何しろ脳からの指令が届かなくなってしまっているので、動かなくても動かそうとする努力が大事です

※下半身が麻痺していると末梢神経の血流が悪くなっているので、異常に脚が冷たく感じると思います、血流を促すために電動ポンプを看護師さんにお願いされたら良いでしょう。

痺れや痛みの緩和は医師が薬を処方してくれるでしょう。神経の痛みにはなかなか薬が効きません。副作用などの許容範囲内で限度まで、痛みに応じてお願いいして下さい。

膀胱直腸障害により、便意尿意がありません。留置カテーテルとオムツでの排便を処理してもらうことになりますが、病気なのだから仕方ないと割り切ってください。悲しい気持ちになりますが、人としての尊厳はのちに挽回できます。

病院の費用については、お住まいの役所の健康保険課に限度額申請をされると、収入により違いますが、数万円で収まると思います。(医療費についてをご覧ください)おむつ代、食事代、病院服代、洗濯代、差額ベット代などは別途かかります。

亜急性期(15日~180日)

急性期は脱したものの、まだ入院して治療が必要な患者に対する医療です。病気やケガで回復していく過程のリハビリなども含みます。亜急性期は一般的には、急性期後60日をさしますが、疾病により15日~180日をさします。医療業界では新しい概念として取り入れられ、急性期を脱して、病気や体の状態が安定するまでの期間です。亜急性期医療は、急性期と慢性期の中間に位置します。亜急性期医療は、急性期医療後であり、安定できない患者であって引き続きある程度の治療が必要となる患者やリハビリテーションを必要とする患者が対象となります。

※この病気は人によって発症した部位や症状によって様々ですので「脊髄梗塞の様々な症状と和らげる方法」でご紹介しています。

※温痛覚麻痺では、リハビリにより神経が別の回路から少しずつつながれば、改善されるかもしれませんが、ぶつけたりしても痛みが無いので、青あざを作りやすくなります。
ご自身でぶつけたり、温度を感じないのでやけどをしないように気を付けて下さい。

※リハビリテーション病院では理学療法士(PT)と作業療法士(OT)が退院後の生活に必要な動作を教えてくれると思います。自宅に帰ってから自立した生活ができるよう、自主トレなどの指導もしてくれると思います。

※褥瘡(じょくそう)[床ずれ]ができると治りにくく、大変ですので気を付けて下さい。

※慣れない事ですが、下痢などが度重なりオムツがすぐに変えられないと、気づかないうちに赤ちゃんのようなオムツかぶれが長く治らない事がありますので、気を付けて下さい。

※この時期に留置カテーテル(採尿バック装着)から自己導尿の指導を受けます。何も考える必要なく排尿していた時と違い、自分で時間を見計らって導尿しなければなりません。
最初はベットの上で尿瓶に、長い使い捨てカテーテルを使用して行う指導をしてくれると思います。その後はトイレに行き排尿できるようにセフティカテを使うでしょう。
水分を摂取した量と排尿した量を調べて、導尿の場合も
自力で排尿できる方もトイレに行く時間を計算すると良いと思います。

※リハビリテーション病院に入院中、PT.OTが家屋調査に行ってくれて、日常生活に必要な改修などの提案をしてくれます。介護保険を利用しての一人1回限り20万までは補助が出る事になっています。

※ケアマネージャーと介護や訪問リハビリ、福祉用具のレンタルなどについて相談します。身体の状態により介護度が違いますが、利用できる介護保険の金額が変わってきますので、その範囲内での利用が一般的だと思います。

※医師の診断の元、症状により身障者手帳の申請ができるよう認定してくれます。
退院後役所へ出向き、障害者手帳の申請と通常75歳から利用できる後期高齢者枠が65歳から適用されます。詳しくは「介護保険について」をご覧ください。

慢性期

長期にわたる療養や介護などが必要な患者に対する医療です。慢性期医療は、病気の進行もゆっくりです。完治するわけではないので、病気の進行もゆっくりで、治療も継続に行われます。慢性期では、医療と介護のミックスした状態です。徐々に医療管理の割合が少なくなり、介護の占める割合が増えてきます。

※自宅に帰ってからも訪問リハビリや通院リハビリだけではなく、自主トレをコツコツ続けることが大切だと思います。変化が目に見えなくても、ストレッチや動かす訓練を地道にやっていると、いつの間にかできなかったことができるようになります。
(ピクリとも動いてくれない脚、いくら指令を出しても反応してくれない脚でも脳から働きかけることは大事だそうです。私の場合も右脚は2年で5%位は動くようになりました。)

※退院してからも一週間ほど排尿のタイミングを計るために計量した方が良いと思います。
例えばコーヒーなどのカフェインを含むものやワインやビール等のアルコールはいつもより早めの排尿になります。(私の体験ですが、日本酒や洋酒でも度数の高いものを好む方は、痺れも痛みも強くなりますのでくれぐれも気を付けて下さい。)

※排泄の管理はなかなか厄介で、少しずつ失禁の回数が減ったり、夜中に苦戦することが減ったと思っても、行きつ戻りつすることがあります。でも、ずっと導尿を続けることになっても敵便で管理することになっても、安定してきますので心配しないで下さい。
 

【トイレの必需品】
・間に合わなかった時の為に下着と着替えを一式
・お尻拭きは厚手の濡れタオルと厚手の流せるお尻拭き2種あった方が良いと思います
・カテーテル洗浄用に水道が無い場合はペットボトル2Lを常備していると良いです。
・敵便用プラスチックグローブ
・ベビーオイルなどの潤滑油
・手先を清潔にする消毒液またはウエットティッシュ
    etc

※約半数の人は杖を使って歩けるようになるようですが、車椅子生活をしていると、外へ出る事も、手間でおっくうになりがちですが、骨が弱くなり骨折しやすくなるようですので、心がけて太陽に当たるようにした方が良いようです。また立つ練習などして体重を脚に掛ける訓練をしないと骨が弱くなると聞いています。

発症した当時は、また入院中は日々闘いで希望はあっても先が見えませんでした。
しかし新しい身体と生活の中で、焦らずコツコツと生活の中でのリハビリをするうち、気づけばできるようになっていた事も増え、少しずつですが改善していくことが分かりました。

今日より明日、明日より明後日と変化して、慣れることにより、気持ち的に以前の生活に戻れる日が来ると信じるようになりました。

一緒に希望を持って明るく前向きに頑張っていきましょう。

 

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