悲しい排泄障害

凛として

夜が明ける頃の、朝霧に包まれた幻想的な景色は、なんとも美しく、普通に旅先で見ている気分にさせる。一生歩けない病気になっても美しいものは美しいと素直に思う。
私のベッドに面しているのは南で、遠くの山の手前に天竜川があり、水面から昇る蒸気が、低い雲海のように見える。南西に広がる夕日のぼんやり溶けていく頃もまた美しいと思う。

さて今日も一日リハビリをしながら明るく過ごそう。

夫にメールで、眠れたのか、食べているのか、薬は飲んだかと聞くと、昼コロッケパン半分とバナナを食べたという。牛乳や野菜ジュースも飲んでいると返信が来た。今まで口では偉そうに言いながら、本音は心細かったのだろう。続いてこんなメールが来た。

「あなたは精神的に強いので大丈夫だと思いますが、私はあまり強くないので、一生懸命頑張ります。」心の中でニヤリとする。初めて負けを認めたな・・・笑
「あなたには私がついているから大丈夫!」と返す。
「ほんとにありがとう♡」と来た。初めてお礼を言われた気がする。

一つ年下の夫にずっと頼られてきた、こんな時位しっかりしてほしい、と内心思う。
だけど自分がしっかりしなければ、この人はダメになってしまうと、なぜか力が湧く。夫婦の不思議はここにあると思う。

夕方、カップ麺を半分食べました。体調が悪いのでもう寝ます。」と17:30
私の入院以来、あればどこ?これはどこ?と聞いて来ては、せっせと掃除や洗濯をしているようだったのに、不眠と心労が隠れていた病気の引き金になってしまったようだ。

夜中「糖尿病が良くなる食べる順番療法」という本をネットで買って自宅へ送った。
ずっと寝た姿勢のせいで、お尻の後ろの部分が痛みを感じるようになって、湿布をしてもらったが、あまり効果はなかった。この痛みはのちに痺れから来ていると知る。

15日目のリハビリは足に長下肢装具をつけて、PTさんと息を合わせ右、左と足を出し腰で歩く、歩けるよ言うになると信じて頑張る。腰の力で右足が少し動かせた気がして喜んだ。左足を動かそうと頑張るがピクリとも動かない。

2回目のリハビリで器具を付けて歩行訓練をしている時、かすかにオムツが匂ってしまった。昨夜水薬を飲んでるし、4日目になるので、出てしまったのだろう。ベッドに戻ってキレイにしてもらった。

身体が自分のものではなく、周りに臭いを振りまいて、処理してもらう。屈辱的と言えば大げさかもしれないが、情けなくて涙があふれた。
今日からリハビリは4回になり、副院長の回診では「薬はもう終わりなので、あとはリハビリを頑張ってください」と言われた。「はい。」それしかないですね。

友人から、頼んだ刺し子布に加えてハンドクリームとハチミツ練り梅とメッセージが届いた。優しさに心がほどけていく。

年末だからと前に注文しておいた車エビが母の所に届いたようで、母が夫に電話でお礼を言い、あの子を見捨てないでと言ったという。彼から「絶対に見捨てません」とメッセージが届いた。母とは弟夫婦と一緒にビデオ電話で話した。顔を見ていると笑顔しか見せれない。

みんな分かっているのだから、同情を誘うような事をしてはいけない。
母は父が入院中「見捨てないでくれよ。」と言ったことが思い出されたようだ。
父は最後まで立派だった。私も父のように立派でいたいと思っている。

遠く離れて

16日目、今日は大晦日。未明から濃い霧が出たり消えたりしている。今年はスキー場も雪不足で、札幌にも雪がないようだ。ここ長野県飯田市は8度、東京は17度と言っている。東京もお正月一週間お天気で温かいなら、彼も元気が湧いてくるかも。

夫のメールに「自分も負けません」とか「あなたが脳の病気じゃなくて良かった。メールも電話もできなかったら大変だった。」とポジティブな言葉が出てきてホッとしている。病気は心が元気でなければ治らない。

「これからは食やお酒も量より質を高め、つまらない時間にならないよう、楽しみや打ち込めるものを見つけて輝いていて欲しい」と送ると「分かりました」と返信が来たが「何かお正月らしいもの買った?」と聞くと「あまり食べたくない」と。

「少しでいいから高級おせちでも買って、日本酒飲んで箱根駅伝見たら?私もこっちで見るから」と伝えると「はい」とは言っていたけど・・・
「今日はふらつくので、出歩かず寝ています」と返信がきた。気力がないみたい。

リハビリの間、足を下ろして車椅子に座っていたので冷たくなって、ベッドへ戻った。横になっていてもポンプを付けていても、冷たくなってしまう。足の血流が極めて悪く、健康な時に足の冷えなど無縁だったのに、これからは冷えとも戦わなければならないようだ。

夕方6時半には年越しそばを食べたので、もう寝ます」とメールが届いた。
私が転院すれば、顔も見られて安心するかもしれない。

久しぶりに年末の面白そうなトーク番組を少し見たり、紅白歌合戦では元気いっぱいの若々しいステージを見た。ずいぶん様変わりしていて、演歌も入っているけれど、若い人が楽しめる構成になっている。

年が明ける1、2分前から、あちこちで打ち上げ花火の音がし始めた。この地方の風習らしく大晦日と1日の夜、日をまたぐように花火を打ち上げるのだそうだ。身体を傾けて窓から見えないか探すと、小さく見えた。今年は人生の大きな記憶の年になった。

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