脊髄梗塞患者に限らず脊髄損傷の患者も脊髄に関係する疾病の後遺症の最たる悩みが膀胱直腸障害ではないかと思います。
発症後すぐに尿道にカテーテルを入れ採尿バッグを身体の一部にしなければならなかった時は、「健康だった自分が急にどうなってしまったんだろう?」と戸惑ったものです。
その上、排便迄自分の管理の及ばない状況になってしまいオムツを使い、人に処理してもらい清拭してもらう辛さや恥ずかしさは、「病気なのだから仕方ない」と割り切るしかできませんでした。
排泄管理は人としての尊厳に関わることと言われます。
歩けない事より優先的に改善したいと思う時、頼れるのが医師に処方してもらう薬です。それは正しく処方されていると信じて患者は飲み続けます。私もそうでした。
健康の時は便秘がちだった私ですが、便を柔らかくするお薬と出ないよりは出る方が良いと考えられ、便秘薬や坐薬などを利用して処理してもらっていました。時間が経過するとともに退院後の事も考えると、私には下剤での排便より敵便の方が管理しやすいと考えるようになり、退院から2年間整腸剤(ミヤBM)を毎食後、酸化マグネシウム330mgを朝夕服用しています。
その間、失敗を繰り返し、薬を調整しながらたどり着いた結果の量と言えます。おかげで4日に1度から1週間に1度、10日に1度、月に1度と2年かけて、昨年の11月を最後に便失禁はなくなりました。
夜中が多く、泣きたくなるというよりは、ため息をつきながら洗浄や洗濯をしていました。笑
排尿の方はというと、病院の泌尿器科で処方されたエブランチルカプセル(膀胱や尿道を弛緩させて排尿を促す)とジスチグミン(尿を出やすくする)を2年近く飲み続けました。
こちらも時間の経過とともに夜間の失禁はなくなりましたが、念のために防水シーツは外せませんでしたし、リハビリパンツに尿取りパッドはほぼ大丈夫と思っても取れなかったものです。
そしてやっと、今月から普通の下着に超薄型尿漏れパッド160ccで寝ることを始めました。
短時間でトイレに行かなければならず、我慢できず漏れてしまう事は、主治医に何度か伝えていましたが、これと言った改善策も提示されないので、上記2種類の薬を止めてはいけないか聞くと、なんとあっさり「導尿だったね。だったら止めても問題ないね。」と言われました。
翌日から飲まなくしたところ、もっと早くに止めていれば良かったと思うほど改善されました。
それまで朝起きて寝る迄に10回近く、早くても5分はかかるトイレタイムが8回に減りました。
それでもアッと思ってトイレに行っても1日に1~3回程はちょい漏れすることがあり、「一生、尿漏れパッドははずせないのかぁ」と、思っていました。
先日主治医に「ちょい漏れすることが多いので測ってみたら180cc~250cc位しか溜らないので、もう少し溜るような薬はありませんか」と尋ねると、眠くなったり口が乾くことがあるけどと付け加え、トピエース4mgを1日1錠出してくれました。
その日のうちに試してみると、なんとまあ、もっと早くに飲んでおけば良かったと思うほど、行きたくなる度にビリビリッと来ていた感覚も消え、導尿する間隔も長くなりました。
ちょい漏れもピタリと止まりました。驚くほど改善され、計量してみると300cc~350cc程で行こうかなと思うようになり、8回だったトイレタイムは6回に。多くても7回で済みそうです。
今までも大丈夫だろうと警戒を解いた途端、失敗してしまう事は何度もありましたので、もうしばらく安心はできませんが、何となく大丈夫な気がします。笑
自分の身体は自分が一番分かっているのですが、薬の提案や症状の改善に医師がもっと積極的になって欲しいものです。2~3分話して、カテーテルと消毒液をもらう為だけの通院には少し疑問を持ってしまいますよね。もちろん多くの医師の方々は熱心だと信じていますが。
発症から2年半、最初に携わってくれた病院の看護師さん達、二つ目の病院の看護師さん達、リハビリ病院でお世話してくださったすべての皆さんに、今を伝えたいと思う位、喜ばしい排泄管理ができるようになったと思います。導尿でも敵便でも、気持ちは健康に戻れた気がします。