最初に、お断りしておきますが、これは発症から4年経った私の今だから笑えるお話です。発症から1年未満の人が聞いたら、笑えない話になってしまいますので、お断りしておこうと思います。
夫が入院してやく3週間が経ちます。週明けには退院が決まると連絡がありました。この3週間、寂しいとか不便と感じた事はなく、久しぶりの一人暮らしを楽しんでいます。帰って来ると分かっているからの事でしょうが。
今日はエレベーターの点検で午後は制限がかかる為、午前中にと思って、ゴミを持ってドアの外に出てみると、部屋の窓からは分からなかったのに、結構まともな雨が降っています。電動車椅子で、いったん外へ出ると傘を取りに帰るという行為は、かなり面倒で時間がかかります。
マンションからアーケード迄20mとアーケードからスーパーの入ったビルの雨が当たらない場所までが10m、まあいいかとそのまま出かけました。
スーパーで野菜コーナーに焼き芋が売っているのを見つけて、「イヤー嬉しい!お昼はこれにしよう」とカゴに入れました。エレベーターで2Fにも上がってカゴいっぱいになったのをマイバックに入れてもらい、カードで決済を済ませ、重いマイバックをももの上に置きました。
これ、「どうしましょう?」と言われ受け取った暖かいお芋、変な話マイバックの下の両太ももの間が空くので、そこに置いたのでした。下半身は麻痺しているものの、ももにあまりに重いものを置いたので、なんだかピリピリするなあと思いながら帰路につきました。
ビルからアーケードを抜けてマンションまで3分もかからないのですが、雨の所は電動車椅子でも走るスピードにはなりません。部屋のドアを開け重い荷物を床に置いた時です。「あ――無い!」とお芋が消えているのに気づきました。久々にガッカリです。
どこで?と思いながら、諦めて買ったものをキッチンに収め、一息ついた所で、どこで落としたのか考えると、前かがみになった時、つまりマンションの前の5m程のスロープではないかと思い当たりました。あのまま雨に濡れてゴミになるのも申し訳ないなと思いながら……
ちょっと行ってみようかと、すぐに帰るからと、フットレストも付けず、靴も履かず、下に降りてみました。玄関先を見ましたが、見当たりません。大きな柱の後ろを確かめようとロビーを移動するとやっぱり落ちていました。
外に出て雨の中、電動車椅子から手を伸ばしますが届きません。歩いていた女性が傘を差し掛け、取ってくれました。「落っことしちゃった!」と照れている私に「ビニール袋は……」と探そうとしてくれます。「大丈夫大丈夫」そこに入るからと言うと、3m程傘をさして雨の当たらない所までついて来てくれました。優しいなぁ(*^^*)
そんなこんなで、不便な身体での生活で最近一番ガッカリした話と嬉しかった話になりました。
お芋はどうなったか?って、実はお芋の入っていた小袋は水を通さないものだったようで、なんと無傷だったのです。久しぶりに美味しい焼き芋、牛乳と一緒に私の胃袋へ収まりました。笑